日々の街頭演説より ②子や孫の世代に負債を残さないために

日々の街頭演説より

日々の街頭演説より 将来世代にツケを残させない

 安倍政権の掲げた経済政策「アベノミクス」はかつて流行語にも選ばれましたし、大胆な金融緩和・積極的な財政政策・民間投資をうながす成長戦略の「三本の矢」という言葉も皆さんよくご存知のことでしょう。ごくごく簡単に言うと、大胆な金融緩和というのは流通するお金の量を増やして経済の流れを作ること、積極的な財政政策というのは大規模な公共事業や国債の買い入れで国が経済を下支えすること、成長戦略というのは将来性があると見込んだ産業へ投資を行い経済の力を伸ばしていこうということでした。
 
 どれも国家レベルでの経済政策ですが、投資ができるくらい経済的に余力のある富裕層から豊かになれば、やがてその富が一般の人の行き渡るという「トリクルダウン」という経済学の仮説を根拠に、あたかも日本全体が豊かになるというような幻想を抱かせてしまいました。国がお金をばら撒いて国民がみんなお金持ちになれるなんて、夢のような話です。
 
 たしかに一時的に株価は上がり、日本経済は経済指標の上ではバブル期以来の好調を維持していました。しかし一般の市民レベルではそれほど景気が良くなっているという実感はないのではないでしょうか。私はアベノミクスは完全に行き詰ってしまったと考えています。金融緩和でお金をどんどん供給し、市場にはお金が溢れ、大企業や富裕層はその恩恵にあずかりました。しかし成長戦略は十分に効果が上がらず、経済を下支えするのが精一杯だというのが現状です。

 そしてさらにまずいことに、アベノミクスは出口戦略が全く描けていないのです。つまり経済が元気になれば徐々に止めようと思っていた金融緩和や財政政策を、止めるに止められなくなってしまっているのです。
 
 金融緩和や財政政策といえば聞こえは良いですが、これは単純に言えば前借りの経済です。明日使うはずだったお金を今日使って、今日を豊かに暮らそうという、将来世代に大きなツケを残す政策です。アベノミクスは子や孫の暮らしに大きな負担をかけるものだと、私たち一人一人が認識せねばなりません。

 私は日本経済が抱える根本的な問題は「人口減少による経済の縮小」だと考えています。少子化・高齢化によって生産年齢人口が毎年100万人規模で減少しているのですから、経済全体の規模が小さくなるのは自然なことなのです。遠回りなようでも、人口減少の問題に対応することこそが、経済をたてなおす最善の策です。

 経済指標や数値目標にこだわり過ぎて、効果の薄いアベノミクスを無理に続けていけば、将来世代にもっと大きなツケを残すことになります。
 
 では京都市はどうでしょうか。
 
 京都市も認めている通り、財政は非常に厳しい状況にあり、財源を必要とする新たな施策は打ち出しにくい状況にあります。過去にした放漫な財政運営と借金が主な原因ですが、もともと税収が伸びにくい京都独特の事情もあります。
 
 借金をこれ以上増やすわけにはいかない。でも市民のニーズに応えた新しい施策を打ち出さねばならない。では財源をどうやって調達するのか。京都市は国のように自分でお金を新しく刷ることはできませんので、新しい財源となる税金を創設するか、もとからある税収を増やすかしかないわけです。
 
 まだあまり知られていないかもしれませんが、2018年から京都に宿泊する観光客を対象にした宿泊税という新しい税の徴収が始まりました。この税収は主に観光客の受け入れ体制の充実などに充てられる予定です。ストレスなく観光ができるという意味で「受益者」である観光客に税を負担していただいて、観光振興と市民生活の改善につなげるという、非常に良い形での税金のあり方だと思います。こうした地道な工夫で新たな財源を確保しようとする試みを繰り返していかねばなりません。