日々の街頭演説より ③観光振興と市民生活

日々の街頭演説より 観光振興と市民生活のバランスを見直す

 京都市と国が推進してきた観光政策によって、国際的な観光都市としての「京都」の地位は確立された感があります。

 ここ10年の間に、観光客数は5500万人を超え、観光に来た人が使うお金の総額(観光消費額)は1兆円を超えるようになりました。観光客向けのビジネスは活況で、京都の経済活動もその分活発になりました。観光客の満足度も非常に高い水準で推移しており、市をあげての歴史や文化面のアピールもこの結果に結びついていると思います。
 
 開発できる土地が少なく、新たな大企業の誘致が難しい京都市にとって、独自のコンテンツである寺社仏閣や文化財を活かした「歴史・文化都市戦略」は重要さを増しています。私も観光産業はまだまだ伸びしろがあり、まさに京都市の経済の柱となってくれる分野であると考えております。

 しかし一方で、京都の町の受け入れ能力を超えた「人」と「資本」の流入により、市民生活に悪影響が出始めています。

 受け入れ能力以上の観光客が京都市を訪れるようになった結果、何が起こっているのか。

 皆さんがまず真っ先に思いつくのが民泊の問題だと思います。お住まいの地域のなかに、ある日突然民泊ができて、深夜まで騒がれたりゴミを散らかされたりして、周辺住民から苦情が寄せられるというケースです。

 ただ、民泊に関しては既に京都市独自の規制が行われ、違法民泊の摘発も進んでおります。まだまだ解決したとはいえない状況ですが、徐々に改善されつつあると見るべきでしょう。

 観光地周辺の交通渋滞・迷惑行為・騒音による地域住民の暮らしの阻害、いわゆる「観光公害」が生じており、観光政策に力を入れてきた京都市としては、これらに対して適切な解決策を提示せねばなりません。

 「混雑しすぎていくら待っても市バスに乗れない」という声は、ここ左京区でも銀閣寺から岡崎にかけての地域で聞かれます。花見や紅葉といったシーズンの一時的な交通のマヒは以前からありましたが、地域の住民がこれほど恒常的に迷惑を被るということはかつてなかったのではないでしょうか。

 では次に、過剰な資本が流入した結果、何が起こっているのか。

 訪日外国人向けの、いわゆるインバウンド目当てのビジネスが活況なために、国内資本・海外資本ともに京都への投資を活発に行いました。その結果、宿泊施設や商業施設がこれまで以上に集中し、不動産バブルが起こっています。

 不動産バブルが起こるとどうなるか。必ず地上げが始まります。もとから地域に住んでいた人々や中小企業が追い出され、地域のコミュニティーはなくなってしまいます。また不動産価格の高騰を嫌って若い世代が市外・府外へと流出することになります。そして一旦出て行ってしまった人は、戻っては来ないのです。

 私はいままさに観光政策を見直すべき時期が来ていると思っています。

 観光振興の成功でたしかに京都の経済は活気づきました。しかし観光のために地域を疲弊させ、将来京都の町を支えてくれる人材を失うわけにはいきません。

 繰り返しになりますが、観光振興の旗振り役を果たしてきた京都市だからこそ、観光公害への対応に全力を尽くす責任があります。

 「おもてなしの心」という言葉だけでは、とても耐えられないような迷惑を被っている人々がいることを認識せねばなりません。あくまでも市民の暮らしと安全が第一です。観光による町おこしは地域の人々の理解と協力なしには成り立たないのです。

 「観光振興」と「市民生活」、その両方に目を配った観光政策の実現に向け、交通運輸産業で働いた経験を活かして積極的な提言を行ってまいります。

日々の街頭演説より